本当の保護者支援って?現場で感じた“寄り添う”より大切なこと

今回は「保育士あるある」ではなく、自身の体験をもとにお話させていただきます☆

保育士になりたての頃、「保護者支援」という言葉こそあったものの、当時はまだ**「子どもを最優先」という空気が強く**、保護者への支援はどこか二の次、そんな印象を私は持っていました。

※ちなみに、私が最初に勤めた園の園長先生と主任の先生は、とても保護者に寄り添う方々でしたよ♪ 私の原点です(´▽`)

なぜそんなイメージがあったのかというと、「保育士(または園)の都合」で保育が進められている場面を多く見てきたからです。もしかすると、今の時代でもまだまだそういう現場はあるかもしれません。

「この家庭の子育てってどうなの?」 「子どもが体調悪いのに、仕事優先?信じられない」

そんな言葉を耳にすることも多かったです。 きっと皆さんの園でも、似たようなことがあるんじゃないですかね?

今日は、そんな中から一つ、エピソードをご紹介します。

目次

【本当の保護者支援って?現場で感じた“寄り添う”より大切なこと】

◆ある日の出来事

  1. 園で子どもが熱(38℃)を出した
  2. 保護者が仕事を早退して迎えに来る
  3. 保護者は3日間、仕事を休む
  4. 体調がやや回復した4日目に登園
  5. 登園時「今日は熱が上がるかもしれません」と保護者
  6. 担任は「ありえない、まだ本調子じゃないのに。他の子にうつるじゃん」と不満
  7. 予想通り、昼に37.5℃の熱
  8. 保護者に電話
  9. なかなかつながらず、数回電話
  10. 担任イライラ
  11. ようやく連絡が取れ、保護者もイライラした様子
  12. 最初の連絡から約3時間後にお迎え
  13. 降園

さて、このエピソードで**「一番大切な場面」**って、どこだと思いますか?

私は【5・登園時「熱が上がるかもしれません」と保護者】の部分だと思っています。

なぜかというと、ここで担任がどんな声をかけたのか?
そのやりとりが、その後の保護者との関係や気持ちに大きく影響するからです。

あの時の担任は、無表情に「あ、わかりました。いってらっしゃい」と言っていたのを見ました。
お母さんは、明らかに疲れ切っていました。

そういうときこそ、保育士がかける一言がとても大事だと思うんです。

◆理想のやりとり(実際のやりとり)

「熱が上がるかもしれないです…」

保育士

「少し園で様子見てみますね。お母さんの体調は大丈夫ですか?無理なさらないでくださいね。もしお熱が上がったときは、職場にお電話してもいいですか?」

「はい、それでお願いします。〇〇時から○○時まで電話出られないと思うんですが…すみません…」

保育士

「大丈夫ですよ。できるだけその時間帯は避けて連絡しますね」

「ありがとうございます…」

たったこれだけのやりとりで、保護者の心の負担は全然違うと思うんです。

【⑥:「ありえない、まだ本調子じゃないのに。他の子にうつるじゃん」というセリフ】

これ、本当に「他の子どもを思って」の言葉だったのでしょうか?

こうした言葉の裏に
「自分の保育が乱される」
「イレギュラー対応が面倒」
そんな本音が隠れているように感じていました。

保育士は、保護者の子育てのパートナーのはず。
それなのに、こうした言動はとても残念に感じました。

◆ある朝の電話でのお母さんの声

少し話は変わりますが…
子どもの体調不良が続き1週間近く仕事を休まれていたお母さんから、登園前に園に電話がありました。

そのときの言葉が、今でも忘れられません。

「今朝は…熱はギリギリ37.5℃を超えていないんですけど…
保育園に預けちゃダメですよね……?
本当は今日も休ませてあげたいんですけど、
職場の目もあって……。
休むたびに周りの反応が気になって……。
私だって、好きで仕事を休んでるわけじゃないんですけど……
どうしたらいいのかなって……」

お母さんたちだって、
子どもが体調不良のときに無理に預けたいわけじゃないですよね。

でも、仕事や職場の人間関係という
子育て以外の大きな悩みも背負っている。

そんな時、園からはこうお伝えしました。

◆園からの声かけ

保育士

「お母さん、一度園にお預けいただいて大丈夫ですよ。もしお熱が上がったら、職場へご連絡しますね。園からの連絡だと、“保育園から連絡が来たなら仕方ない”とか、“子どもの体調が悪い中、頑張って出勤してくれたんだ”って思ってくれる方も多いと思います。もちろん、全員がそうとは限りませんが、でも、お母さんのその姿勢や頑張りは、きっと見てくれている人には伝わりますよ。まずは気をつけてお越しくださいね」

こうしたやりとりは何度もありましたが、
この対応に嫌な顔をされた保護者は一人もいません。

みなさん口をそろえて

「本当に助かります……ありがとうございます」

とホッとした表情でお仕事へ向かわれました。

◆園長や主任になってから

こうした対応をはっきり実行に移せたのは、
やはり園長や主任になってからでした。

※もちろん、園の方針や体制による部分も大きいので、どの園でもできるわけではありませんが…💦

それでも、自分の考えを園の体制に反映するには、
ある程度の役職が必要なのかもしれませんね(*‘∀‘)

しかし、そのようなやり方が面白く思わない保育士さんも実際沢山いましたし、他の子どもにうつす要素があるからそのやり方はどうかと思います…など、色んな意見がありました。

なので!私の園長時代は、
そういった微妙な体調不良のお子さんを私自身で別室で対応していました。

そうすることで、

  • クラスの子どもたちとは接触しない
  • 担任(保育士)が気を揉まずに済む
  • 保護者の職場への罪悪感も軽減される

まさに**“一石三鳥”**でした☆
(デメリットは自身の業務が溜まるくらいです(笑))

もちろん、これが「正解」だとは思っていません。

でも、少なくともこうした対応をしたときには、
**「ありがとう先生」**と言っていただけました。

この「ありがとう」の言葉があるからこそ、保育士を続けていられています(*´▽`*)。

保護者支援って、なんだろう?

私が思う「保護者支援」とは――
**まず、“保護者の気持ちを汲み取ること”**です。

「保護者の気持ちに寄り添いましょう」という言葉、保育の現場ではよく聞かれますよね。でも私は、ただ寄り添うだけでは足りないと思うんです。

そもそも、相手の“今の気持ち”や“置かれている状況”がわからなければ、寄り添おうにも寄り添えないのではないでしょうか?

大切なのは、

  • 「保護者は今、どんな気持ちでいるのか?」
  • 「どんな背景や状況があるのか?」

を、想像し、読み取ろうとする姿勢。

気持ちを汲み取ることができて、はじめて本当の意味で“寄り添う”ことができる――

私はそう考えています。

相手の立場に立って考え、その気持ちを想像しながら、言葉や態度に表していくこと。

それこそが、**私にとっての「保護者支援」**です。(*^-^*)

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この記事を書いた人

今年で保育士歴20年を迎えます☆
児童館、認可保育園、小規模A型、幼稚園、認定園、認可外保育園(英語保育園)、企業主導型保育園、企業主導型小規模保育園、病児保育、放課後等デイサービス、と多種多様にお子さんと関わる仕事をしてきました♪現在は、障害福祉サービスにて管理職をしながら、独立に向けての活動を少しずつ進めています☆

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